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親友までの距離 

最近行ったお店をストーリーを通して、ご紹介してみたいと思います。
お店とモルトの紹介と小さなお話を、のんびりとお読み頂ければ幸い。
情報を探している方は、リンクを張っておいたので、そこからページへどうぞ。




■親友までの距離


こいつが男だったらよかったのに・・・

男であれば、朝まで飲み、泊まりに行き、もっと多くのことを話し、
同じ時間を共有することも長かったはずだ。
女でなければ、親友という言葉を何のためらいもなく使っていただろう。



今日ひま?飲みに行かない?

そんなメールから僕が設定した今日の店は、
自分の趣味ばかり優先されている。

神保町という場所に、喫茶店「さぼうる」で腹ごしらえ。二件目のモルトバーで飲むことまで考えた店選び。

彼女は、偶然にも「さぼうる」は行きつけで、
名物のナポリタンを食べずには帰れないと遠慮なく言う。
学生時代のサークルからの間柄ともなれば、互いに遠慮はいらない。
僕は、ナポリタンを半分食べることで、彼女の要求を満たし次の店に行こうと誘う。

その店は、神保町交差点の三菱UFJ銀行の裏にあるBar.Polka Dots&MOONBEAMS

僕もその店に行くのは初めてだ。
店内に入ると、奥行きのあるカウンターに所狭しと並ぶボトル。
ケースに入った高価なビンテージモルトは圧巻。
暗く落とした照明に、流れるジャズもコルトレーンを中心にしっとりした雰囲気。
モルトグラスも種類があって、磨き上げられたグラスに淡い琥珀の色がよく映える。
(すべてのボトルには、パラフィルムが丁寧に巻かれ味の劣化もない)

目をキラキラさせながらそんなことを語ろうが、
ウィスキーをほとんど飲んだことがない彼女には、
突如出現した訳のわからない世界に違いない。

モルト好きしか感動しない店を選んだのは、
今日の夜、飯に誘ったのは彼女の方からだという僕の身勝手だ。

当店にはメニューはありません。

えっ??

そう言いきって、沈黙するマスターと、しばし流れる時間。
メニューがないということは、客として店にあるボトルを把握する上で、
銘柄や年代や、細かいスペックの判断が、
マスターとの対話でなされることを意味する。

ちょいと趣のあるマスターで、一つの銘柄を指定すれば、
客の好みを聞き4つぐらいのボトルを出してくれる。
カウンターの客の飲むペースにあわせて目配りし、
静かで落ち着いた物腰は、独特の雰囲気をバーに与えている。

シングルモルトをはじめて飲むという
彼女にチョイスしてくれたのは、ロッホサイド。

僕は、アイラモルトの一つ、ブルイックラディ10年
オールドボトル入りのものを選ぶ。

20060209210728.jpg


飲み方はストレート。彼女も同じ。

まずは香り。そして味を試す。

ウィスキーの味を最初から美味しいと表現できる人は多くない。
ハイランドの食後酒として甘いといわれるロッホサイドでも、
ストレートのアルコールの強さにむせて当たり前。
この味で初心者の共感を得るのは難しい。

そんなふうに僕はあきらめていたところで、
彼女の今までの誰とも違う反応に驚いた。

彼女はロッホサイドを果物の香りと香ばしい香りの混ざったものといい、
飲み口を評価して、甘くて美味しいときた。

んんんん・・・・

では、ブルイックラディは?
香りの違いを言いあて、
存在すら知らないであろうピートの匂いをちゃんと評価した。
「ちゃんと」とはピートの香りをもってしても、よい香りであると・・・

わたし木の香りが好きなのよね。ヒノキとかそういうの。

ふーーーん。

ウィスキーを評する言葉や知識など一つも持っていないのにこの反応。

臭い、辛い、を抜きにして素直に賞賛されるとは。

拍子抜けしたこと以上に、
僕がアイラモルトの個性を認めるまでに3年はかかり、
現地に行ったことでわかった世界に、
一瞬で同じ場所にきたことへの悔しさがあった。

モルトの世界に、男女の差はないが、
男でも最初はなかなか認められない個性的な味。

ふーーんといいながらも、内心は穏やかではない。

そういえば・・・
彼女は、学生時代から一種のセンスの良さや勘の鋭さを持っていた。

ちょっと、かなわないな・・・そう思っていたこともあった。
血気盛んで当時は自分が一番だと思っているから、
今思えば、才能への嫉妬や恐れもあってか、
僕はサークルの運営などをめぐって彼女と喧嘩もよくしたものだった。

そんな想いをめぐらせながら、追いつかれちゃったかなと悔しくも、
同時に世界を共有したことで嬉しくもあった。

2杯目は、アイラ島でも一番尖った味のするアードベック。
彼女には、アイラ島の海の匂いを知ってもらいたく、ラフロイグをと頼む。

マスターは、

磯の香りですか・・・と繰り返す。

僕は、彼女が他の店でも飲めるように、
手に入りやすい銘柄でと注文を付け加えた。

とおもむろに出してきたのは、ラフロイグのクォーターカスク。

20060209215335.jpg


このチョイス!!

難しい注文にもかかわらず、マスターの絶妙な答え。

プロとして、一つの提案として、一人の飲み手として、
これは彼女にぴったりのウィスキーだと思った。


香りを楽しみ、美味しさ共有するときの空気感。
アイラ島でカリラ蒸留所で経験したあの懐かしい感覚。

学生時代から社会人への長い時間をかけて、
友達として素直になれるし、見栄などもない。

それは、相手が男であろうが、女であろうが、関係のないことだ。

ウィスキーでほてった彼女の横顔を眺めながら、
この距離のことを、人は親友と呼ぶのだろうと思った。

さて、またウィスキーを飲みに行こうか!
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